国際交流読書クラブ / 課題本とその解題
Paperback Coffee Club (PCC)

1999年度

<10月>
Angela's Ashes: A Memoir, by Frank McCourt (ISBN: 068484267)
$11.20 / Paperback: Touchstone (May 1999) / 368 pages

1930年、ブルックリン生まれ、アイルランド系カトリックの移民としてアメリカで育つ作者の子供時代は厳しかった。飽食の日本にいて、「極貧にいきるとは、人種・宗教の違いによる生活状況の違いは...」と幾つかの問題意識をもって、この本を読んでみたい。ある時期のアイルランドの社会と人間の関わりが掴めると期待している。

<11月>
Memoirs of a Geisha, by Authur Golden (ISBN: 0679781587)
$7.00 / Paperback: Vintage (Jan. 1999) / 434 pages

日本海に面した貧しい漁師の家に産まれたさゆりは、母の死後、祇園の置屋へ奉公に出され、ライバルの舞妓の残酷とも言える仕打ちにも厳しい芸事にも耐えてていくさゆりの一生を叙情豊かに描いている。日本史化を研究するアメリカ人が芸者社会の歴史と文化を調査して書いたことで有名。スピルバーグ監督が映画化を進めている。

<12月>
Baltimore Blues, by Laura Lippman (ISBN: 0380788756)
$4.79 / Paperback Avon (Feb. 1997) / 352 Pages

生まれ育ったBaltimore を舞台にした Mysteryもののデビュー作。失業中のジャーナリストTes Monaghanは、ボスと関係をもつ友人の婚約者の尾行を依頼される。ボスは殺され嫌疑は友人に掛かる。果たして犯人はだれか?町の描写が実在のBaltimoreに忠実で、街の案内役も務めてくれると好評だ。

<1月>
Where the Heart Is, by Billie Letts (ISBN: 0446672211)
$7.20 / Paperback: Warner (Jun. 1998) / 376 pages
Walker Percy Award

夢を求めて2人でCaliforniaに行く途中、ボーイフレンドのWillieにNovalleeはOklahoma Wall-Martで10ドルと衣類のみ置いて捨てられてしまう。17才、妊娠7ヶ月、37ポンド太りすぎ。絶望のNovalleeはOklahomaで人生を大きく変える3人に出会う。

<2月>
Jack and Rochelle by, Laurence Sutin (ISBN: 1555972438)
$11.16 / Paperback (1996) / 376 pages

ポーランドのダンス学校で知り合い、第2次戦争中ナチの労働キャンプを逃れて再会した2人は 森の中でユダヤ人の愛国主義者に出会いレジスタンス運動に共に身を投じる。堅く結ばれた2人の洞窟生活は劣悪を極めるがその中で作者は読者にある感動を伝えるLove Story。

<3月>
Travellers of a Undred Ages, by Donald Keene (ISBN: 0231114370)
\4160 / Paperback (1999) / 396 Pages

金関寿夫訳「百代の過客」の日本語タイトルで、かって朝日新聞に連載された日記文学の原典。今回は江戸後期・末期の日記12編を通して、それぞれの筆者が記録した時代の特賞と筆者自身の役割をたどりたい。担当者はできるだけ原資料にあたっての解説を心がけてほしい。

* Jon Hasslerにはインタービュー集があります。"An Interview with Jon Hassler" $14.95 (June 1990)
* Angela's Ashesには、Unabridged音声テープ($35)があります。
* 日本関連(Memoirs of a Geisha)では、最新号TIME(5/31)に次の2冊が紹介されています。
  1) 'Confucius Lives Next Door' by T.R. Reid (Random; 276 pages, ISBN:0679419764, $17.47)
  2) 'Tokyo Underground' by Robert Whiting (Pantheon; 384 pages, ISDN:0679419764, $19.25)

2000年度

<4月>
Snow Falling on Cedars, by David Guterson (ISBN: 067976402)
$14:00 / Paperback (1995) / 460 Pages

舞台は1950年代の米国北西部の小島。ある日、島の沖で一人の魚師の変死体が発見される。容疑者の日系人カブオ・ミヤモトは殺された魚師の幼なじみ。裁判で戦時中カリフォルニアの強制収容所に送られていた日系人への偏見や戦争の傷跡が蘇り、島人の深い繋がりと心の葛藤が明らかになってくる。

<5月>
Remnants of Glory, by Teresa Miller (ISBN: 0967313104)
$14.95 / Paperback (Nov. 1999) / 338 pages

厳しい初期の時代のOklahomaを舞台にした、Kate Dexter(90歳女性)の物語。愛と勇気、内に秘めた強さとしなやかさに満ちた彼女の人生が、Oklahomaの歴史と社会を背景に、魅力的に描かれている。 PCCと著者とのメール交換は既に始まっているというPCC期待の一作。
著者紹介: A fourth-generation Oklahoman, theExecutive Director of the Oklahoma Center for Poets and Writers at OSU.

<6月>
Fried Green Tomatoes at the Whistle Stop Cafe by Frannie Flaggs (ISBN: 0449911357)
$10.36 / Paperback (Jan. 1997) / 403 pages

舞台はアラバマ。1980年代の老女と中年女性の出会いから始まり、それに1930年代のもう一組のイジーとルースという女性の話が入って、交互に話は展開する。ストーリテラーのミセス・スレッドグッドは、義母の面会に老人ホームを訪ねた更年期特有の鬱を抱えるエブリンに昔話を始める。エブリンはいつしか、イジーと ルースが経営するホイッスル・カフェを中心に繰り広げられる様々な出来事に心動かし、自分自身を解き放つようになる。

<9月>
Breakfast with Scot, by Michael Downing (ISBN: 1582430276)
$16.80 / Hardcover (Nov. 1999) / 224 pages

ゲイのカップルSam(カイロプラクター)とEd(ファッション雑誌の編集者)の2人が11歳の男の子の世話をする羽目になる。2人ともこどもはいらないというタイプだったが、女の子の服装をするのが好きな一風変わったこの子の巻き起こす事態に大奮闘させられるが、段々と父親としての感情が芽生えるというストーリー。現代の家庭のあり方を考えられる作品となっている。著者はTaft 大学Writing教授。

<10月>
All over but the Shoutin', by Rick Bragg (ISBN: 0679774025)
$11.20 / Paperback (Sep. 1999) / 329 pages

アラバマの田舎で貧しい家庭で育った著者がNew York Timesの記者として成功するまでを綴った感動の自伝。40才で亡くなった父は呑んだくれの暴力男。母は息子の手を引きながら 綿花を摘み、ガラガラ蛇を鉈で叩き殺す気丈な女。刑務所との縁がきれない弟。Pulitzer Prize-Winningを受賞したときの弁「世の中でいいことはいつまでも続くものではない」に、著者の青春の辛かった日々を読者は忖度する。

<11月>
Dead Man Walking, by Helen Preiean (ISBN: 0679751319)
$10:40 / Paperback (Feb. 1996) / 276 Pages

1982年のこと、カトリックのSisterであるPrejeanのところに強姦と殺人の罪で死刑判決を受け、刑の執行を待つ身の Patrick Sonnier との文通がはじまる。やがて刑務所を訪問しはじめ、罪を悔いて死んでいくPatrickの精神的な支えとなる。死刑廃止を訴えて活動する彼女の深く静かな回想記となっている。

<12月>
A Walk in the Woods, by Bill Bryson (ISBN: 0767902513)
$13:00 / Paperback (1998) / 274 Pages

14州をまたぎ、3600キロにおよぶアパラチア自然歩道を歩いた著者の体験記録。その間、周辺の歴史・伝説をユーモアを交えて語ることで、多くの驚くべき事実と豊かな雑学を読者に伝えている。読者に自然と接し自然に学ぶことの大切さを呼び起こさせてくれる本。著者にはMade in Englishとう英語の楽しみも教えてくれる本も書いている。

<1月>
Interpreter of Maladies, by Jhumpa Lahiri
$10 / (Jun. 1999) / 198 Pages

1967年生まれのインド系アメリカ人女性の処女短編集で、2000度のピュ-リッツア賞受賞作。登場人物は多くの場合、カルカッタ出身のベンガル人を両親に持ち、ロンドンで生まれて幼少時にアメリカに渡った彼女自身の来歴に近い、移民とその周辺の人々である。新天地の環境や文化や人間関係を受け入れ、順応しようとする、決して容易ではない道筋で登場人物が直面する身の置きどころのない孤独を描きながら、そこからの再生の可能性をほのめかすが、処方箋はだそうとせず観察者の立場を保持しているのは作者の美しい倫理であろう。

<2月>
砂の女(原作・英訳)安部公房著
Boy Meets Girl in Japanese Sandbox, by Greg Mason

ガスタバス大学英米学科教授のGregの論文(7ページ)を取り上げる。イギリス人の彼はイギリス文学が専門だが、日本の文学や映画にも関心があり、安部公房や三島由紀夫、羅生門、お葬式等の作品を取り上げる講座を一つ毎年開講日している。今回は原作と英訳を元にWestern Virginia Universityの紀要に彼が発表した論文を議論する。

<3月>
Waiting, by Ha Jin
$11.70 / (Sep. 2000) / 320 Pages

1999年度の全米図書賞とHEMINGWAY賞のダブル受賞作品で9月に発売予定。主人公のLin Kongは教養豊かで賢明は現代女性Manna Wuを妻とする上昇志向の医者だが、彼には中国にも若いころ家が決めた控えめで献身的な妻がいる。離婚話を毎年繰り返しているが、伝統的な家族制度の厚い壁に阻まれて17年間Linは「待つ」。これは西洋の読者にとっては驚愕の別世界である。1985年以後アメリカに移住し、アトランタのエモリ大学の英文科教授となる。Under the Red Flag(オコーナー賞1996)、Ocean of Words (PEN/Hemingway 賞1997) あり。

2001年度

<4月>
Civil Action, by Jonathan Harr
$12.60 / Vintage Book (Sep.1996) / 502 Pages

これはマサチュセッ州で起こった発癌嬰性のある工場排水で水源が汚染され、それにより住民が白血病にかかってしまった事件を8年半の取材をもとにまとめたジョナサン・ハーはのノンフイクシヨン。弁護士が二つの会社を相手取り訴訟をおこすが裁判の過程は、法学部の学生が実社会の複雑さを知るのに最適なため、全米50のロースクールの指定書になっている。ジョン・トラボルタ主演の映画(1998)にもなっている。Videoも出まわっている。

<5月>
Travels in Irish America, by Joseph O'Connor
$13.56 / (Aug. 1996)

現在アイルランドを代表する若手作家が、アメリカ全土にあるダブリンと名のつく9つの町を訪ねて大陸横断をする旅行記。道中ざまざまなエピソードを辛口のユーモア交えて綴る一方で、JFKやプレスリーといったアイルランド系ヒーローを冷静な視点で語ったり、アイルランド音楽がアメリカ音楽に与えた影響を分析する。アメリカのカウンターカルチャーの洗礼をカソリックのそれと同じくらいに受けて育った世代の一人が、自分にとってのアメリカを再確認する旅に、何を見たかに興味がある。

<7月>
North of Hope, by Jon Hassler (ISDN: 0345369114)
1990 / 435 Pages

Massacusetts 州のNorthampton は人口3万人。WASPの他にレスビアン、ホームレス、移民、学生が同居する17世紀からの New England の古い町。著者は、町のことは何でも知っている巡査の Tommy、働く若い女性 Lura、息子に手を焼く大学教授 Ada, 成金の不動産業者 Alan等、個性豊かな人物の暮らしを蜘蛛の巣の関係の中で過不足なく丹念に活写する。アメリカの小さな町のたたずまいが、どんなに描かれているかに興味がある。1999年に年間最高作品とTIMEが賞賛している。



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