XJ900の爽快チューン
2010年1月29日 - クランクケース内圧(減圧)について考える - なぜ減圧が効くのか   
     
     
 


 一方、ピストンが下がりきったときに1気圧の場合は、上がりきったときに1/2気圧になる。 ピストンの上側に大気圧がかかっている(1気圧で押されている)とすると、加圧時は最大2−1=1気圧で押さえる必要があるのに対し、減圧時は最小1−1/2=1/2気圧で引っ張り上げれば良いことになる。
 だが、ここで“ほうら、やっぱり、下がるときよりも上がるときのほうが抵抗が小さいじゃないか…”と、早合点してはいけない。
 上の計算が成り立つのは、最初に1気圧だった内圧が、ピストンが下がって2気圧まで高まり、減圧バルブの作用によって完全に抜け、

■減圧で振動が減るのはなぜか

■ピストン上昇の抵抗となるか
 ピストンの下側にある空気の圧力が低くなれば、下がるときの抵抗は小さくなるかもしれないが、上がるときの抵抗は大きくなるのではないか…という素朴な疑問がある。
 これについて、3つの場合に分けて考えてみる。まず、ブリーザーがない(クランクケース内圧が逃げない)場合。仮にクランクケース容積を500cc、排気量を500cc、圧縮前の内圧が1気圧だとすると、ピストンが下がりきったときの内圧は2気圧になる。ピストンの上側に大気圧がかかっているとすると、ピストンを押し下げるのに必要な力は、2−1=1気圧と計算できる。で、押し下げるのをやめれば、同じく2−1=1気圧の力で押し上げられる。だからここでは、内圧以外に、ピストンを押し上げる力は不要である。
 次に、ブリーザーが大気開放されていて、自由に空気が出入りできる場合。この場合、クランクケース内圧は常に1気圧であり、ピストンの上下に内圧が与える影響はない。
 続いて、ブリーザー経路中に減圧バルブ(逆止弁)を設けた場合。ピストンが下がるときには内圧が逃げて空気は圧縮されないから、大気開放の場合と同じなのに、ピストンが上がるときにはバルブが閉じ、クランクケース内の空気を膨張させなければならず、ピストンが上がりきったときの内圧は1/2気圧になる。つまりここでは1−1/2=1/2気圧分だけ大気圧のほうが高いから、その差1/2気圧分の力が、ピストンを上昇させるために消費される。
 これらのことから、クランクケース内圧が高かろうが低かろうが、減圧バルブを設けない限りピストンの上下による力の収支には変化がないことと、逆止弁を設けた場合はむしろ、ピストンの上昇時にはロスが増える可能性のあることがわかる。
 にもかかわらず、逆止弁タイプの減圧バルブが明らかに効果を発揮するのは、空気抵抗の減少が、いかにエンジンのロス馬力低減に大きな効果を与えているかの証しといえる。

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