XJ900の爽快チューン
2011年9月27日 - ドライブシャフトのオイルシール交換のついでに、各部を整備   
     
 もてぎへの出発の日が近づいてきたので、のんびりと時間を気にせずに掃除をしているわけにはいかなくなった。この修理が終われば再び絶好調間違いなしのバイクで、この時期の中部山岳地帯を縫って栃木県まで行くなんて、考えただけでもワクワクする。しかし“バイクで来るなど、まかりならん!”と、仕事の依頼主に厳命を受けていたので、ここは大人しく従うことにした。
 それなら、何も急いで修理せず、帰ってきてからゆっくりやればよさそうだが、やはり“やり残し”があるまま出かけたくないし、帰ってきてすぐに調子のいいバイクに乗れるのを楽しみに出発したい。

 とはいえ、パーツが来るまではオイル漏れ修理ができないので、他の気になるところに手を加えた。ひとつはシリンダーヘッドカバーガスケットからのオイルにじみ対策で、もうひとつは端子箱への通気と排水を兼ねたホースの取りつけである。
 前者は、長期間の使用により、ガスケット(ゴム製)とアルミパーツ(シリンダーヘッドまたはシリンダ
ーヘッドカバー)との接触面が部分的に貼りついたようになって滑りが悪くなり、貼り付いていない部分が常に最も収まりのよい位置に収まろうとするのに対し、貼り付いた部分が抵抗となり、部分的にねじれが生じて密着できなくなった結果、オイ

ルがにじむのではないか…というのが、経験に基づく私の推論である。
 だから、オイルがにじむようにな
ってきたら、シリンダーヘッドカバ
ー取りつけボルトを外し、カバーを少し浮かせた状態でガスケットの貼りつきをはがし、動きやすくするために接触面にシリコングリスなどを塗り、前後左右にゴソゴソ動かしながら、最も収まりのよい位置にガスケットを収めてから取りつけボルトを締め込むのが良いと思う。
 今回はこの作業のついでに、取りつけボルト側にも小細工(ファインチューニング)を施したのだが、長くなるので、いずれ別項に(XJマニ
ュアル的に)まとめてみたい。
今回の交換パーツ3点。サブアッセンブリー脱着時に傷つきやすい、大きいほうのOリングは常に新品を組みつけたい。
長さ4メートルのフェンスの支柱の端に穴を開けて作った特大SST。帯板ではなくアングルなので剛性は充分だった。
センターロックナットを外し、ドライブフランジを抜きとった後、マイナスドライバーでオイルシールを少しずつ掘り出していく。
 で、火曜日になってオイルシールとOリングが入荷(急いでいたので仕方なく近所のYSPを利用w)したので、この期におよんで、ドライブフランジ回り止めの特殊工具をどうするかを考えた。前回締めたときは、グローリーホールでバイスを借りたから、そうするのが一番いい。だが今日は定休日で、他にバイスを借りに行けそうなショップも軒並み定休日。仕方がないから、ウチにある物だけで何とかすることにした。
 最初は、サービスマニュアルに書かれた“バイスで挟む”が頭から離れず、挟むことばかり考えていたので良策が浮かばなかった。しかし、4つのネジ穴を使えばいいとわかっ

てからは思考が急発展。最後に“長くて剛性の高い材料にフランジをネジ留めすればいい…”と、必要充分かつ現実的な案に行きついた。
 おあつらえ向きの材料は、ガレージの裏に転がっていた。このガレージの建設途中に撤去したフェンスの支柱である。さっそくこいつの端に直径8mmの穴を2個開け、ドライブフランジを固定できるようにした。切るのは面倒なので、長さ4メートルもある特大SSTの完成である(笑)。
 2本のM8ボルトで フランジを固定し、ブレーカーバーを介して19mmのボックスソケットに力をかけると、100〜140Nmで締まったセンターロックナットはあっけなく緩んだ。

 ここから先の作業は、4年前のエンジンオーバーホール時と同じ。前回よりも気をつけたのは、傾かず/奥に入りすぎないようにオイルシールを押し込むことと、オイルシールのリップが接触するドライブフランジの円筒部外周面のラッピングを徹底すること…などである。
 さらに、今回のオイル漏れには無関係の部位ながら、クロスジョイント取りつけボルトの締めつけトルクを見直した。マニュアル記載の 3.8
〜5.0kgf・m は明らかに間違いであり、強度区分6TのM8ボルトに対してはトルク超過もいいところなので、締めつけ2回目の今回は30Nmに留めた。次回は新品に交換したい。
このテの、明確な位置決め加工のないオイルシールの装着には神経を使う。経験上、ここは“ツライチ”が良いと考えた。前回の装着前に磨いたドライブフランジ軸部を、さらに徹底して磨いた。黒は塗装、茶色はスレッドコンパウンドの色である。
クランクケースへの挿入時は、長めのM8ボルトを回り止めのガイドにする。嵌めた後に回して位置を合わせるのは困難だ。Oリングの嵌め込みは、手で押すだけでは足りず、木の棒を当てて叩き込む。シリコンスプレーで滑りやすくしておくべし。
Oリングが見えなくなった後は、4本の取りつけボルトを差し込み、ハウジングが傾かないように、徐々に締め込んでいく。スイングアーム内のドライブシャフト前端にクロスジョイントを差し込み、ブーツを装着したスイングアームをフレームに仮付け。
ドライブフランジとクロスジョイントを結合する4本のM8ボルト。作業性向上のために、ブーツを引っ張る道具を作った。左の写真の結合ボルトを締めつけるときは、ホイールとスイングアームの間に木の棒を突っ込んで回り止めにしている。
シリンダーヘッドカバー取りつけボルトに嵌め込むゴム製のガスケットにも、なじみやすくするためにシリコンスプレーを塗る。端子箱の底面後ろ寄りに、樹脂の筒をエポキシパテで接着。スイングアーム取りつけ後、通気/排水用ホースを装着した。点検の便を考え、アンダーカウルなしでテスト走行。念入りな拭き掃除が功を奏し、久しぶりに“まばゆい”状態に復帰した。


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