XJ900の爽快チューン
2012年8月22日 - ロングツーリングに備えたエンジンオイルの交換とクラッチまわりの点検
     
オイル総量が少ない(今回も注入量は2.0リットルだった)ので、より多く排出するためにも、毎回オイルパンを開けている。前に一度、異物が噛みこんでローターが傷だらけになったことがあり、それ以後、ポンプの点検もオイル交換と同時にしている。
 ダンロップ・ツーリングステーシ
ョン@猪苗代(箕輪スキー場)に向けて、24日に出発することが決まったので、オイル交換をした。前回の交換(2011年9月15日)以後、 11カ月・8249km走っているから、2000km近く走りそうなツーリングの前に替えたほうが良いと判断した。
 アッシュの FSE MOTOSPEC 10W-50以外の選択肢は、今の私にはない。製品に対する信頼性でアッシュ(製造元:JCDプロダクツ)に、 潤滑性の高さでFSEに、流動性の高さで10W
-50に決めた結果、 6年以上・7万km近くにわたって使い続けている。
 ロングライフゆえ交換インターバルが長いので、メンドクサがりのくせに心配性の私は、このところずっ

と、エンジンオイル交換時にはフィルターカバーとオイルパンを開け、オイルフィルターの交換とオイルポンプの点検をしている。今回は、ついでに、去年秋のクラッチまわりの改造以後、 3月に点検しただけだったプライマリードリブンギアとクラ
ッチハウジングの結合部分の点検をするにもよいチャンスである。
 メンドクサがりの私が、オイル交換のついでに、ほいほい気軽に(笑)オイルパンやクラッチカバーを開けようという気になるのは、扱い慣れた自分のバイクだという他に、よりメンドクサい事態にならないように注意をし、準備もしているからだ。
 そのひとつは、ガスケットの表裏面にオイルをたっぷり塗って(シリ

コングリスよりもオイルのほうが効果大)組みつけること。これのおかげで、オイルパンやクラッチカバー取り外し時にガスケットが破れる可能性は低く、5〜6回程度なら楽勝で繰り返し使用できる。そもそも“貼りつき”がほとんど生じず、仮に貼りついて破れたとしても、容易に剥がせる。とはいえ絶対に破れないわけではないから、常に新品をストックしているのは言うまでもない。
 他に、例えば、クラッチやオイルポンプなど関連パーツの中古スペアを持っていること、 M6/M8/M10などのインサートコイルとスプリュータップを常備していることなども、上に書いた“ほいほい気軽に”の気持ちを後押ししてくれている。
XJ750系のオイルポンプドライブスプロケット。外周部の2カ所の爪が、プライマリードリブンギアの切り欠きに嵌まり込む構造だ。ドライブスプロケットの内側(ミッション軸の外周との間)に挿入されているカラーを外せば、チェーンをたるませることができる。組み立て時、チェーンをかけた後、スプロケット中穴〜ミッション軸外周間にカラーを挿入すればチェーンの張りは適正になる。
 よい機会なので、 XJ650/750/900系エンジンのオイルポンプ脱着に関する注意点をまとめておきたい。このテのエンジンのオイルポンプは、プライマリードリブンギア裏面の切り欠きにドライブスプロケットの爪が嵌まり込み、そこを介してクランクの回転を受けたドライブスプロケ
ットが、チェーンを介してドリブンスプロケット(トロコイドローター軸に固定)を駆動する方式である。
 分解/組み立て時にやっかいなのは、オイルポンプドライブチェーンの脱着と、上に書いた“切り欠きと爪”の位置合わせ。このふたつの手順を忘れず、プライマリードリブンギアコンプリート(クラッチハウジングと一体)の装着時にはマーキン

グをするなど、確実化と時間短縮の工夫をすれば、スムーズに作業が進み、イライラせずにすむ。
 で、まずはドライブスプロケットの取り外し。これには、大きな円盤状の板の奥に隠れたスプロケットの歯から、ドライブチェーンを外す必要がある。これは、チェーンドライブのバイクのドライブチェーンを外すとき、チェーンプラーを緩めてホイールを前にズラすのと同じく、ドライブスプロケットとミッション軸の間にあるカラーを抜き、カラーの厚さの分だけスプロケットを下に落とし、チェーンの遊びを増やしてやればよい。そうしておいて、たるんだチェーンの右側(クランク寄り)を右手の指でつまみ、軽く奥に押し

やるような態勢のまま、左手でスプロケットを反時計回りに回しつつ引
っ張れば、容易に取り出せる。
 取りつけ時は、チェーンをドリブンスプロケットにからめた状態のオイルポンプをクランクケース底部に取りつけたあと、チェーンを引っ張り上げてミッション軸に引っかけ、取り外し時とは逆に、左手で左側のチェーンを手前に引っ張るような感じにしたまま、右手でドライブスプロケットを時計回りに回しながらミ
ッション軸に差し込む。そして、上下のスプロケットの歯に、ちゃんとチェーンがかかっているのを確認したあと、ドライブスプロケット〜ミ
ッション軸間にカラーを挿入すればこのパートの作業は完了である。
プライマリードリブンギアに隠れて見えなくなる“爪”の位置を、隠れてもわかるように黄色のペイントマーカーでマーキング。プライマリードリブンギア内周面(ローラーベアリング転動面)にも、表から見て切り欠きの位置がわかるようにマークする。プライマリードリブンギアコンプリート取りつけ時、マークを合わせることで、切り欠きに爪を嵌め合わせるのが容易になる。
 続いて、プライマリードリブンギアコンプリート(クラッチハウジングと一体)の取りつけ。これまた、ギアと軸との間のスペーサーを取り外すことによって、ギアのセンターをズラし、ドライブギア(クランクウェブに直接歯切り)との噛み合いを外せるようにした構造なので、取りつけ時には、まず、プライマリードリブンギアの歯をドライブギアと噛み合わせなければならない。
 で、その状態を保ったままスペーサーを嵌め込むわけだが、そのときプライマリードリブンギア裏面の切り欠きにオイルポンプドライブスプロケットの爪が正しく嵌まっていないと、うまくいかない。やったことのある人にはわかると思うが、これ

がけっこう面倒なのである。
 なぜ面倒かと言うと、切り欠きも爪も、プライマリードリブンギアの裏側にあるため、嵌まっているかどうかが目視できないからだ。軸と直交方向にズレただけならすぐに直せるが、回転方向にズレると、見えないだけに、嵌め直すのは難しい。
 そこで、最初に嵌め合わせるときも、あとでズレた場合に修正するときも、位置決めが容易にできるように、ドライブスプロケットの円盤表面とプライマリードリブンギアの内周面に、爪の位置と切り欠きの位置がわかるようにマークをしておく。
 私の場合、スプロケットの円盤のほうには、ずいぶん前に黄色のペイントマーカーで入れたマーク(爪の

真下)が残っており、それを利用。プライマリードリブンギアのほうはベアリングのローラー転動面であるため残っておらず、毎回組み立て前に、油性ペンを用い、切り欠きの位置にラインを入れている。
 こうしておけば、マークを合わせるようにプライマリードリブンギアコンプリート(重い)を支持し、ドライブギア(クランクウェブ)と噛み合わせたあと、マークにズレがなければOK、ズレていればNG(要位置調整)と判断でき、作業効率が高まるだけでなく、見えない“切り欠きと爪の嵌め合わせ”が正しくできているという安心感も得られる。あとは、ズレないように気をつけてスペーサーを入れるだけである。
異機種のパーツを組み合わせたプライマリードリブンギアコンプリート。ボルト/ナット/ロックワッシャを点検し、異常のないことを確認。この件は未公開だが、アブソーバースプリングのプライマリー側レートを上げたのも、ギアシフトのスムーズさや全閉付近のスロットルコントロールのしやすさに大きく寄与している。
クラッチスプリングは、自作のリテーナーで支持。ラック&ピニオンのラックに“テカリ”があったので、ニッケルペーストを塗った。
最近、スレッドコンパウンドの代用として使いはじめたニッケルペースト。ネジに塗ったときの、独特の滑り感は感動的である。


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